屋根塗装というのは聞きなれない言葉かもしれませんね。文字どおり、屋根を塗装することです。屋根塗装が必要なんて、工務店も大工さんも一言も言いませんでした。
今の新築住宅の屋根は、瓦屋根を除くと約3分の1がスレート屋根、最も多いのがガルバリウム鋼板屋根です。以前より金属屋根が非常に増えているのがわかります。
構造 | 2007年 | 2017年 |
かわら | 33.6% | 18.7% |
化粧スレート | 36.0% | 32.7% |
金属屋根 | 19.5% | 42.1% |
その他 | 10.9% | 6.5% |
※出典:日経TECK https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00624/030400001/
最初に言っておきますと、金属のガルバリウム鋼板屋根は、屋根塗装は不要です。メンテナンスフリーです。
それならスレート屋根はどうなのかという点をご紹介したいと思います。
化粧スレートが使われるのは、厚みが約5mmと軽く、色が豊富で耐久性もあり安いためです。特に軽いので耐震性に優れることと価格が安いので建築費を抑えられるため多用されています。
化粧スレートは、原料のセメントに繊維質を混ぜ、混和剤で良くなじませたものを薄く加圧成型したもので、それ自体には防水性能はなく、表面に防水塗装が施されています。
天然スレート(高級な商品)
石綿スレート(今は使われません)
セメントスレート(今の主流です)
次の画像がスレート屋根です。
誰も知らなかった スレート屋根は新品でも雨水が染み込む
化粧スレート屋根の防水性は、一時的にはスレートが、二次的にはスレートの下に敷かれた防水シートが担っています。
画像は屋根の野地板(下地材)に防水シートを貼っているところです。
スレート屋根は新品でも雨水が染み込みます。
それは、スレートのつなぎ目と釘打ちで固定した箇所からです。
つなぎ目にシーリングなどは行いません。
その理由は、染み込んだ雨水が排水されやすようにするためです。
雨水がある程度染み込むことを想定した構造なのですね。
染み込んだ雨水を受け止めているのが下地の防水シートです。このおかげで雨漏りはしません。
スレート屋根の構造と耐用年数
スレート屋根は、重ね施工が標準工法です。
一般的なスレートのサイズは幅91cm×高さ41.4cm、厚さは約5mmです。
上部に4か所、釘を打って固定する穴があります。釘を屋根の下地(野地板)に打ち込んでスレートを張ります。
けっこう大きいサイズですね。
スレート板は、たて重ね150mm以上(屋根)の重ね葺きが標準施工方法です。
次は適当な画像がなかったのでネットから画像をお借りしました。重ねて葺いているのが分かります。どの部分も必ず2枚重ねになっていますね。
化粧スレート自体は1枚で約15年の耐用年数があると言われますので、2枚重ねなら耐用年数は約30年になります。
屋根塗装は見栄えを良くするため
ここから言えることは次のことです。
◆ 化粧スレート葺きは、もともと雨水が染み込むことを想定した屋根であること。
◆ 本当の意味での防水は、スレートの下の防水シートの役目であること。
つまり、化粧スレートの防水塗装は、もともと屋根の防水自体にはあまり役立っていないことが分かります。
スレート板が大きく割れていたり、苔やカビが生えて見苦しいといったことがなければ、特に屋根塗装の必要性はないと言えます。
雨漏りが始まったら耐用年数が過ぎた印ですので、屋根の葺き替えが必要です。
一般的には、おそらく業者さんは外壁塗装に合わせて屋根塗装の必要性を何度も説明するでしょう。
それは営業のためです。
外壁プラス屋根を塗装することで料金が大きく上がりますし、手間は大して変わらないので業者側にとってはいい話だからです。
スレート屋根の塗装は特に必要ありません。塗装しても耐用年数が伸びるわけでもありません。
ただ、割れたり破損箇所があるなど、納得できることなら修理に応じても良いと思います。
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